手のひらで知る世界 目は見えず耳は聴こえずとも・11
恩師が今も支えてくれる
石井 康子
pp.1192-1194
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918816
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心にくい込む先生の一言一言
鳥取ろう学校に入って間もないころ,たしか中学2年になった時,新しい先生が入ってこられた.授業の始まる時間に廊下で遊んでいたら‘さあ授業ですよ,始めましょう.教室へお入りなさい’とでも言うように,さわやかな晴れ晴れとした笑顔で教室を指差してこちらを見ているので,びっくりして教室へ飛び込んで,ドスンと椅子に座った.
色白というより男にしては白すぎる肌,ギリシア彫刻のような高くすっきりした鼻すじ,切れ長の細い目,その笑顔は晴れやかで人を引きつけるものがあった.黒板いっぱいに大きな大きな字で,右から左へ縦書きに書いてすぐいっぱいになるので,さっと消してはまた書く.目の不自由な私にはとても続みやすい大きな字だった.
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