ホームヘルパー跳びある記・10
修羅のなかの死
松田 万知代
1
1藤沢市役所‘老人いきがい課’
pp.213
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918616
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現代社会においてはタブー視されている‘死’の話題が,日常会話の中で語られるような職場は特殊な職場ではないだろうか? しかも私たちホームヘルパーの職場で語られる‘死’とは,別離の悲しみよりも,‘やっと楽になれてよかったネ’という追悼のコトバに象徴されるような死である.
それはヘルパーとして介護の義務が終わったという意味でもなく,数多くの別離を経験しすぎて死そのものに対する尊厳をなくしているわけでもない.老人たちがその長かった,あまりにもつらい苦痛から解放されたことを受け入れた,老人たちの理解者としての惜別の言葉なのである.末期の病人,しかも老人のケアをするということは,その人とともに苦しみに直面し,その苦悩や苦痛を共有することを意味する.そうでなければその人を援助することなどはできないのである.
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