ホームヘルパー跳びある記・7
疎外のなかの孤独
松田 万知代
1
1藤沢市役所‘老人いきがい課’
pp.1221
発行日 1978年11月1日
Published Date 1978/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918549
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‘毎度毎度申しわけないけど,私どうしても老人ホームに帰りたいんです.もし前のホームがだめなら,どこのホームでもいいからお願いします.遠くてもかまいません.だめなら病院でも,3度の食事さえ出してくれればどんなところでもいいんです’──
Aさん,84歳,幼児期に失明,マッサージ業を生活の糧にして夫と舅を養いながら,義弟の子を養女にして,舅と夫に先立たれた後も,生活保護を受けながらその養女(T子)の成長を唯一の拠りどころに生きてきた.T子に美容学校を卒業させるまでの生活のつらさは,文字通りの‘後家の頑張り’であったが,T子の就職も決まり,やれ安心もつかの間,若い娘が盲目の老女と暮らすには,みじめ過ぎるAさんの暮らしぶりでした.
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