切り取りカード 看護ミニ事典
‘大腿四頭筋短縮(拘縮)症’/‘幻肢痛’(phantom pain)
宮田 雄祐
1
1大阪市立大学小児科
pp.1345-1346
発行日 1978年12月1日
Published Date 1978/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918576
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原因:本症は,大腿四頭筋(大腿前面部を占めている筋)の瘢痕性拘縮により,膝関節の屈曲が制限され,膝運動が障害された状態を言う.本症の99.9%以上が該部への注射に基づくものであり1),時に大腿部の外傷や化膿でも起こる.まれに先天性という報告もあるが,先天性として報告された症例も再調査の結果,注射歴が証明されることが多い2).今日我が国で発生した本症のほとんどは,注射に起因するものである.
症状:大腿四頭筋は直筋と広筋から成っており,障害される筋により,直筋型と広筋型に分類される.症状は走歩行時に足を外側に振り回すような跛行(分回し跛行)を示すほか,膝関節の屈曲が制限されるため,正座やしゃがみ,階段昇降が困難(重症例では全く不能)となる.直筋型では尻を強く後方に突き出して歩き,脊柱の前轡が著明となる.時に歩行後,腹痛や強い腰痛を訴える場合も多い.
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