ベッドサイドの看護
大腿四頭筋短縮症患者に対する看護
上田 恵子
1
,
塩沢 千代子
1
,
野口 るり子
1
1天理よろず相談所病院外科病棟
pp.808-811
発行日 1975年8月1日
Published Date 1975/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917309
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はじめに
最近,注目を浴びている大腿四頭筋短縮症は,主として下肢の屈曲障害のために特有の歩行を示す疾患である.治療法としては,軽症のものでは,マッサージ,各種の水浴療法,温熱療法などを行いつつ経過を観察し,中および重症のものでは入院の上,観血的治療を施行し,矯正肢位によるギプス包帯固定が4-6週間行われる,ギプス包帯除去後も,長期のマッサージ療法が必要なので,退院後も通院加療となる.発育途上にある患児はもちろんのこと,家族にとっても精神的・肉体的苦痛は,はかり知れないものがあると思われる.
この疾患の原因はまだ明らかにされていないが,誘因の1つとして大腿部の筋肉注射が挙げられている.当病棟においても昭和41年の開設以来5例の入院があり,年齢は1歳半から11歳までである.いずれも乳幼児期に注射を体験していることに焦点を当て,1症例の入院中の経過を紹介するとともに,注射が筋肉に及ぼす影響などについて考察を加えてみたい.
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