特集 社会医学(第4回社会医学研究会講演)
一般演題
医療から疎外されたものとしての身体障害児—肢体不自由児施設の外来統計より
山本 理平
1
1前東京都北療育園
pp.558-560
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202731
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演者の勤務していた東京都の施設(昭和37年7月1日開設)は,施設本来の業務たる収容(入園)のほか,外来を設立の当初から正式の業務として扱い,入園児もすべてそれを経由することになっている。しかし世間一般の受けとり方は,やはり長期の入園施設としてであるようで,この1年間訪れた患者の殆んどが入園希望を申込んであった。
さて受付開始の昨年8月1日以後9ヵ月間にのようにしてつれて来られた児童の総数300余名中には,高度の精神障害のみによるものや,仮性肥大型筋ジストロフィのいわゆる不治患児も少なからず含まれている(14%)が,①疾患別に分類して最も多いのはpre,paraないし,ごく早期のpostnatalの脳障害による脳性小児麻痺,あるいは乳幼児期の脳炎,髄膜炎後遺症(両者を一括して脳性小児麻痺と呼ぶことが多い)が圧到的に多く(69%),その中では精薄,てんかんなどの一つあるいは二つ合併するいわゆる重複障害児(double handicapped)が3割を占めている一方,骨,関節の疾患(内反足,先股脱,骨髄炎,カリエス等)が著しくすくない(4%)ことがめだつ。従来整形外科的後療法の主な対象であった脊髄性小児麻痺(ポリオ)は11.1%で多いとはいえない。
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