ベッドサイドの看護
死への看護のあり方を求めて—6つの事例の経験から
牧 淳子
1
1日本大学医学部板橋病院内科病棟
pp.621-626
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918417
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はじめに
その日は,私が初めて病棟に配属され,主任からオリエンテーションを受けた日であった.初めての病棟に胸をおどらせていた矢先,患者が急変して,私がいちばん初めに看護婦として行った仕事は,死後の処置であった.初めて出勤,初めての仕事が死後の処置であった私は,‘なんて大変な病棟に来てしまったのだろうか’と,自分の心の動揺を解決せざるをえなくなって,さっそく家に帰って死に関する2,3の本を読んだ.
それから3年を経た今,もう一度,E.キューブラ・ロスの“死ぬ瞬間”(川口正吉訳,読売新聞社)を読み直した時,一度目には,ただ本の中での出来事でしかなかった患者の死が,看護婦としての私に直接かかわるものとして,書いてあるように変化していることに気づき,今まで私が接した患者の死について,もう一度考え直し,反省する必要を強く感じた.
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