ルポ・アメリカ合衆国のナース その生活と意見・3
患者気質
江元 セツ
pp.322-324
発行日 1978年3月1日
Published Date 1978/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918356
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お世辞のうまいアメリカ人
12月のバージニアの朝7時はまだ薄暗い.申し継ぎが終わり,今日の受け持ちであるミスター・ハドソンのところにモーニングケアに行った.‘こんなくもり空の日は布団にもぐって朝寝をしたいなー’と思いながら出勤してきたから,ミスター・ハドソンがまだいい気分で眠っているのを起こしたくはないけど,そうも言っていられない.‘おはようございます.ミスター.ハドソン,目をあけて!’と言うと,片目をあけて,‘おはよう.おー,あなたはなんて美しい!’と言って両目を閉じてしまった.
アメリカの病院でエクスチェンジ(exchange)のプログラムが始まってあまり間もなかったから,びっくりしてしまった.それから,沢山の患者さんたちと接したが,若い患者さんは特にお世辞を言うのを忘れないし,おばあちゃんたちなどは,私に‘H-i, Sugar’とか‘H-i, Honey’とか呼ぶ.日本語に直訳すると‘お砂糖ちゃん’全くにが笑いしたものである.しかしアメリカの患者さんたちは,いつも‘ありがとう’ということを決して忘れなかった.
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