昨日の患者
患者気質と与薬
高木 隆治
pp.152
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900884
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最近の社会情勢の変化はめまぐるしいものがある。それに伴い医療情勢をとりかこむ環境も急変している。医療費,インフォームドコンセント,エイズ,MRSA,薬の副作用,病院の倒産,etc。マスコミは連日のように報道する。国,病院はすぐ反応する。現場の医師は好むと好まざるとにかかわらず何らかの対処をせざるを得ない。薬剤の服用に関しても同様である。患者にはあらかじめ,できるだけ与薬の目的と内容を説明するようにしている。しかし,外来診療の中で,短時間に副作用のことまで説明するのは不可能に近い。特に新患の場合,医師と患者との間に信頼関係が成立しているとは言えないし,我々にとっても患者の理解力の程度が全くわからない。いずれにしても与薬に対する患者の反応が多様になっている。
1)処方された薬をそのまま服用してくれる患者 2)同じ薬を継続していないと気がすまない患者 3)与薬時,薬の変更などのとき,必ず質問してくる患者 4)定期受診はするが,たとえ異常所見があっても服薬したがらない人 5)服用薬はするが短期間で中止したいと思っている人,などである。医師にとって1)と2)の患者は気が楽で,従来はこの種の患者が多かった。最近は3)〜5)の患者がふえているようである。1日50〜70人の外来患者をみていると,ついめんどうくさくなるが,それではいけないと自戒して説明する。
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