特集 付き添い看護を考える
付き添い看護の社会学
水野 肇
pp.686-693
発行日 1976年7月1日
Published Date 1976/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917918
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日本の医療の2つの矛盾
日本の医療は数々の問題を抱え,各方面から多くの批判を浴びている.医療には100以上の問題点があると指摘する人もいるぐらいである.だが,ちょっと角度を変えてみると,世界じゅう,医療がうまくいっている国はほとんどない.どこの国も問題を抱え,うまく解決しているとはいえない.世界じゅうに共通しているのは,ひとつは増大する医療費にどの国も対処できなくなってきたこと,国民の要望がエスカレートする一方で,とても需要に応じ切れないこと,医師と患者の人間関係がうまくいかなくなってきたことなどが,特に大きな問題点としてクローズ・アップされている.
こういったなかで日本の医療をみた場合‘総医療費が国民所得に比べて少ない割りには比較的うまくいっている’という見方がある.確かにGNP比較でみると,スウェーデン9%,アメリカ8%,イギリス6%なのに対して,日本は4%ちょっとにしかすぎない.その限りでみれば,日本は安い医療費でうまくやっているという見方も成り立つのかもしれない.しかし,一歩突っ込んで日本の医療をみると,決してそんなものではない.特に日本の医療の大きな問題点だといえるのは,‘付き添い看護’と‘差額病床’の2つである.
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