現地ルポ
絶対反対か,条件つき反対か—看護制度改正案をめぐる日本看護協会総会の3日間
栗原 弘
1
1本誌編集室
pp.26-30
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917515
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プロローグ
4月25日。早朝から東京の空は低くたれこめていた。九段坂上,靖国神社と相対置した八角形の大殿堂日本武道館が,金色の擬宝珠を戴きウッソリ聳立している。昭和45年度日本看護協会通常総会の開幕を待つ会場である。
午前7時。全国各地から代議員・一般会員第一陣が,夜行乗りつけでスーツケースを手に坂道を登ってきた。九段側の入口には江戸城以来の田安門が,巨大な鉄鋲をうってガッチリ建っている。その門をくぐる会員たちの手に手に,白衣に赤腕章の労働組合員看護婦の列がビラを渡す,一人のもれもなく。各種のビラの一つ,総評医療労働者共闘会議のアピール要旨を紹介しよう。「保助看法“改正”案をやめさせましょう──看護協会総会に訴えます。」大きな活字見出しが目をうつ。今回の政府「改正」案で果して不足は解消するか。年間1万5千人もの看護婦退職の事実は,労働諸条件の悪さに決定的な原因がある。医療の進歩は高看教育でさえ十分といえない状況にある。単に中卒から高卒になったというものでなく,看護専門教育をどれだけ受けたかが評価の基準にされねばならぬ。准看大量養成による准看中心の看護力は,レベルダウンであり社会的地位をも下げる。と述べ,次のように提案している。
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