特集 老人の医療と福祉
老人病院建設反対について
弓倉 藤楠
pp.27-28
発行日 1970年6月10日
Published Date 1970/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204693
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今,寝たきり老人に対する対策として板橋区医師会は老人病院反対ということをした。まったくこれは逆なことじゃないかというふうに感じるわけですが,実は決してそうではなくて,本当に老人の医療の方法論。特に寝たきり老人の方法論というものを前提として,私たちは反対運動をしたわけです。私たちが知ったのは昨年の初めですが,東京都で板橋の養育院の中に1,000床の老人病院を作ろうということを知りまして,その内容もだんだんわかってきたわけです。この老人病院にだれを収容するのか,ということを聞きましたところ,寝たきり老人を収容するというわけです。ところがその病院の内容を見ますと,大学の付属病院の規模,内容,設備それ以上なんです。たとえば,建設費に例をとってみましても大学病院あるいは民間病院でもそうですが,1床あたり土地を入れまして,だいたい300万。ところが,老人病院は土地がありまして,1床あたり700万というような非常に膨大な金を使う。全部で50数億円です。これに対する予算が,これは,最初1,000床が750床に変更しましたが,750人しか収容できないのではないか。寝たきり老人に対しては,もっと大々的に特別養護老人ホーム,そういうものを作るべきではないかというのが,だいたいの骨子になっているわけです。
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