わたしの分娩
周囲の反対を押切っての出産
小野 光子
pp.42-43
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202917
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病院勤務をしていて妊娠.その当時病院に務めている人の中には妊娠したものは1人もなく,大きなお腹をかかえて務めることが恥しいようなそんな空気の中で胎児はすくすくと大きくなりました.両親にはまだ早いと反対され,何とも言いようのない悲しみを味わいました.初産はどんな反対があっても産みたいと頑張りました.しかし反対がつぎつぎと毎日の生活の中にも現われ,肩身の狭い思いをしつづけました.毎月の検診は異常なし.骨盤は小さいかと心配をしていましたが,それも大丈夫.ときどき動くその動きに悦びを覚えました.反対もそのころにはうすれ,あきらめてくれたようでした.いつ出産してもよいように自分のものは用意できたものの,子供のものは早く用意したくてもできないありさまでした.義母に言い出しましたら,初産はそう早く生まれないから,まだまだ先で用意すればよいと一言ではねつけられて,産まれくる子が哀れで仕方がなく,何度となく涙しました.
妊娠8か月頃でしたか,胎動の際神経を圧迫してか,痛みのため寝返りすらできない状態でした.トイレも不自由で,誰もいなくなり困りはてている際,出勤前の主人が町まで便器を買いに出てくれたこと,それがうれしく忘れられません.2日ほど休んだだけでした.診察によると,妊娠による坐骨神経痛とか言われました.
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