特集 保安処分—反医療の思想と構造
看護者自らの意識変革を—‘保安処分’をどう考えるか“精神科看護を考える会”の討論から
矢野 真二
1
1町田市立中央病院
pp.1170-1177
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917137
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──精神医療については,朝日新聞に連載された大熊一夫さんの“ルポ・精神病棟”や,小林美代子さんの“髪の花”を読んで,そのすさまじい実態におどろいたけれども,それでは,私たちがいる病院の実態はどうなのか,という問い直しがなかなか出てこないのですね.‘保安処分’をどう考えるかという問題にしても,精神神経学会での医師の反対声明や,患者さんの告発の声はかなり聞かれるけれども,精神医療を最前線で,しかも患者の生活をその全ての面にわたって担っている看護者,数から言っても圧倒的に多い看護者からの声がほとんど聞かれない現状です.
やはり,問題をできるだけ現実の看護場面にまで引き寄せて,私たち看護者が毎日病院内で行っている看護とは何か,を再検討して果たして患者の人権は守られているのかを,自分自身に問い直していくことから始めなければ……と思います.
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