学生の研究
神経性無食欲症患者へのアプローチ—とくにラポール成立への試みを中心として
佐藤 勇一
1
1秋田大学医学部付属高等看護学校
pp.1079-1083
発行日 1974年11月1日
Published Date 1974/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917121
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小児科病棟に神経性無食欲症の患児が入院している.るいそうがはげしく情緒の起伏も大きい.他患児との交流もなく孤独的であり,看護婦・看護学生もそばにいても苦痛であると言う.食事はほとんど摂取していないが,全く食べないわけではなくごく少量の食物をとっている.患児の食欲を抑制している因子を発見し,心理的・行動的なアプローチによりこの患児が1日も早く自分から進んで食べるように援助を試みた.
神経性無食欲症患者について,池見らは‘医師であれ看護婦であれ,付添婦であれ,一応ラポールをつけることに成功すれば,それをきっかけに食べるようになる.この際食べることを熱心に勧めたり,食べることの重要さを説得しない方がよい’1)と言い,梶山は‘患者との人間的接触に努めその信頼を得た上で,種々の心因に対する処理を行う’2)と述べている.ここに共通する考え方は食べさせようとするのではなく,まず患者とのコミュニケーションをもつことが大切であるということである.NaudauやGullは,このような患者には心理的に特徴があると言っているが,この患児も神経質かつ自己中心的で,社会性に乏しいという特徴がある.しかし,それではこのような患者には具体的にどのようにしてラポールを成立させればよいのだろうか?
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