ベッドサイドの看護
入院中にも生活を感じさせるような援助—長期間一人住まいをしていた老人が入院して
貝島 勝子
1
1大阪赤十字病院
pp.946-949
発行日 1974年9月1日
Published Date 1974/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917092
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はじめに
現代社会の中で老人の存在を考えてみると,核家族化による家庭の枠からはみ出し,物心ともに困窮者が多いことに気付く.ここに取り上げた患者の場合は,身寄りはほとんどないが,経済的には比較的恵まれていた.10年来1人でアパート生活をして数年前胃癌の診断を受けた.一時生死を危ぶまれたこともあったが,老人で病状の進行が緩慢であったため,寝たり起きたりの状態が続いていた.そのために患者は訴える人を見失い,ごくささいな日常生活のなかにさえも目を向けることを忘れていた.ここで私たちは入院中でも何らかの形で生活を感じさせることができればと思う気持ちと,寝たきり老人を看護者の手でつくり上げてしまわないようにという考えから,この問題を取り上げてみた.
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