2色ページ トランスファー・テクニック・8
脊椎の働きと腰痛
岩崎 富子
1
1東京都立老人総合研究所リハビリテーション医学部運動研究室
pp.356-358
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916977
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脊柱の支持性 今まで腰に余分な負荷をかけないことを盛んに強調してきたので,最後に脊椎の働き,重い物を持つことにより生ずる腰痛の原因について少し考えてみよう.
御存じのように,立位における人間の重力の大部分は脊柱によって支持されている.物を持ち上げる時,脊柱にかかる負荷を支持しているのは脊椎に付着している靱帯と筋群(背筋)である.しかし支持作用を持っているのはこれだけではない.胸腔圧・腹腔圧を高めることにより脊柱にかかる負荷は分散されて,実際の負荷より減少している.すなわち,重い物を持ち上げる時には,背筋のみでなく,肋間筋・腹筋・横隔膜・肩甲骨周囲筋が同時に収縮することにより,胸腔圧,腹腔圧を高めているのである(もちろん体のバランスを保つために,下肢の筋群も働いている).
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