連載 死と看護・11
患者の家族
河野 博臣
1
1河野胃腸科・外科医院
pp.1484-1489
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916817
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患者を取り巻く家族の変化
医者が事実を知ったとき,まずそれを告げるのは家族です.事実を知った家族のなかに変化の起こるのは当然です.家族の心理的な変化は急速に起こり,それによって患者心理もまた同様に変化を起こすわけです.主人の重病によって,妻は大きな依存への終わりを感じます.私の患者の奥さんは,ご主人がガンであることを告げられたとき失神しました.一時のショックは非常に大きく,それを取り巻く家庭のうえにも大きな変化が起こります.残った家庭への経済的・精神的な負担は増大し,それに対してどのように対処していくかに迷うわけです.
そのような患者を取り巻く家族の心理的な変化は,患者に対してもまた影響を与えるわけです.残される夫にしろ妻にしろ,その喪失感は非常に強く,患者の生存中から家族に対しての心理的・ケースワーク的援助を与えていかなくてはなりません.
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