今月の主題 染色体―検査と社会とのかかわり
社会とのかかわり
患者・家族と社会とのかかわり―患者や家族にとって住みよい社会であるためには
巽 純子
1
Junko TATSUMI
1
1京都大学大学院医学研究科遺伝医学専攻放射線遺伝学
キーワード:
Down症
,
出生前診断
,
障害と社会
Keyword:
Down症
,
出生前診断
,
障害と社会
pp.195-198
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904692
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1.はじめに
近年,さまざまな出生前診断の方法が開発され,わが国でも母体血清マーカーを用いた非侵襲的な検査が使われてきている.この検査については,厚生省の厚生科学審議会先端医療技術評価部会の出生前診断に関する専門委員会で1998年10月から論議,検討が行われ,1999年6月23日に母体血清マーカー検査に関する見解として報告され,この検査について妊婦から相談があった場合には,医師は,この検査の特質と問題点を理解したうえで,慎重に対応すべきであるとしている1).
母体血清マーカー検査は,従来は遺伝性疾患を疑われる場合など特別な場合にのみ行われていた出生前診断とは異なり,特に出生前診断と意識しない妊婦へ広範囲な適用を意図した検査である.使われ方によっては,受ける各個人は明確に意図はしていないが,結果として優生的な検査となるものである.
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