連載 外来診療に差をつけるコミュニケーションスキル・7
家族に付き添われた患者とのコミュニケーション:相手は患者か家族か
木村 琢磨
1
1国立病院機構東埼玉病院総合診療科
キーワード:
付き添い者
,
三者関係
,
患者中心
Keyword:
付き添い者
,
三者関係
,
患者中心
pp.720-724
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104421
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
事例紹介●娘と来院した高齢男性
88歳の男性.これまで医療機関にかかったことはないが,最近食が細くなり,心配した娘に付き添われて外来を受診した.
医師 「こんにちは,今日はどうなさいましたか?」
患者 「自分では心配していないんですが,娘がどうしてもと言うもんですから参りました」
医師 「どういうことでしょう?」
患者 「元々,食は細いほうなんですが,そうそう,いつだっけ,この前は吐き気があったよな?」(娘にゆっくり話しかけている)
患者はしっかりしているようだが,とてもゆっくりと話し,話の要領を得ない.カルテはどんどん積まれていく.手際よく診療しなくては…….
そんな医師の気持ちを悟ってかはわからないが,娘が話し始めた.
娘 「すいません.父がのろのろしていまして.実は……」
娘は,とても手際よく症状の経過を教えてくれた.
医師 「はーなるほど」「そうですか」
医師は,本人のほうを時々向いてはいたものの,いつのまにか,本人とほとんど話をせず,娘とばかりやり取りしたまま診療は終了となった.果たして,これでよかったのであろうか…….
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.