学生の研究
指導者の立場から—すばらしい臨場感から受ける新鮮な驚きと衝撃
野島 良子
1
1京都大学医学部付属病院
pp.1302-1303
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916781
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計画をたてて看護するとき,具体的にどのような行動が効果的なのかわかりにくい.その弱点を克服して,ひとつひとつの行為を自信をもって,生き生きとできるようになりたい,というのが,一般外科実習を始めるにあたっての,菅谷さんの希望であったと思う,うっかりすると,何もしてあげることがない,ということになりかねない患者であったが,コトバよりも手を上手に使って,基本的なベッド・サイド・ケアをくり返すなかで,患者のなかに毎日新しく何かを発見し,その感動を次のケアに素直に生かしていった成果が,これである.
看護の実際を文章にまとめる力についていえば,体言止めと動詞の現在形を効果的に使うことによって,看護の場面の状況と,患者と看護婦の相互作用がわかりやすく,いきいきと表現されている.すばらしい臨場感がある.医学用語を(+)と(-)でつなぐだけでよしとする私たちの世代は,これに新鮮な驚きを感じ,衝撃を受けた.今後,看護記録のあり方について検討してゆくうえに,何かヒントになるのではなかろうか.
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