今月の主題 老人診療のポイント
長寿者の医学的特徴
亀山 正邦
1
1住友病院
pp.1306-1309
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221776
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長寿者-老年者とは
WHOによる中年以降の年齢区分では,45〜59歳をmiddle-aged persons,60〜74歳をthe elderly(年長者),それ以上をthe aged(老年者)としている.ここでは,the elderlyは,まだ十分に活動能力を有しており,その技術,知識,経験を生かして社会に貢献出来る人が多いと判定されている.しかし,75歳以上のthe agedでは,介助を要するものが増えてくる.この年齢区分には,とくに科学的根拠があるわけではなく,各国や社会において共通に使用できるものとは考えられない.ことに,男性の平均余命が75年,女性のそれが81年におよぶわが国においては,むしろ80歳くらいに線を引いて,それ以上をthe agedと区分する方が便利かもしれない.the agedの中には「老い」という概念が入っており,老化という考えの底には,劣化という思想が含まれている.しかし「年寄り」がかならずしも長寿者ではない.高齢者を診察する際に重要なことは,「個人差が著しく大きい」ということである.
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