学生の研究
小児と死
竹内 和子
1,2
1長崎大学医学部付属看護学校
2長崎大学医学部付属病院,小児看護学
pp.194-200
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916571
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はじめに
‘看護婦が話しかけても全然しゃべってくれない児’というふうにシンちゃんを紹介され,とまどいと不安でいっぱいになりながら,シンちゃんの凧が1つ飾ってあるだけの暗く,色彩に乏しい病室にはいって行きました.憔悴の色がかすかにうかがえる,ことば少なく,おとなしそうな母親,そして感情のない目で私を瞥見したまま全く無関心そのもののシンちゃんにはじめて会いました.
神経芽細胞腫の疑いで,確定診断名のないまま,予後不良で長くはないだろうと言われた患児を受け持ち,9歳の患児がどのように‘死’を迎えていったか,それを看護者はどのように援助していったかをここに1症例研究として皆さまにご報告するとともに“小児と死”について看護者の立場をふまえ,人間としてどのように関与しうるか,未熟ながら研究をすすめていくうえで悩み考えたことなどを発表してみたいと思います.皆さまのご意見ご指導などいただけましたら幸いと存じます.
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