マイ・オピニオン
卒後教育の体系化を考える
西村 咲子
1
1金沢大学医学部付属病院
pp.149
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916563
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新しい看護理論の展開,仮説検証的看護研究の必要性……
‘看護は実践することによってその価値を評価することができる学問である’というコトバを毎日くり返しながらも,ともすると臨床看護という‘動’の川の流れに洗われ,すり減ってゆく小石になりそうな不安を覚える昨今である.‘量よりも質,精鋭化されたナースの援助は患者の満足度を充足させる’ある教授が述べられたひと言であるが,臨床で量にあえいでいる中間管理者としては,のどの渇きを覚えるコトバであり,自然の治癒力が患者に働きかけるように最良の状態をととのえ保つためには,多くのケア,積み重ねられるケアが絶対に必要であり,そのことは量の充足とは切り離すことのできない問題と考えられるが……
意欲を持ち続けながらも,卒後教育の体系の不備,指導者の研究的姿勢の少なさに方向も方法もつかめないままに暗中模索の自己研修に悩む臨床看護婦像は,わが国における看護教育界と臨床看護とのひずみの表出であり,当然関連される卒後教育の不備を如実に物語っている姿であると思う.
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