看護のための集団力学入門・4
集団の魅力と社会的参加—凝集性(1)
岡堂 哲雄
1
1聖路加看護大学
pp.900-906
発行日 1972年7月1日
Published Date 1972/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916384
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集団参加の勧誘
いつも春の新学期には,大学や高校などのキャンパスで集団力学的にみて興味のある現象がみられる.それは運動部や文化部などの課外活動の集団に新入生を参加させようとして試みられるさまざまな動きである.上級生たちは自分の所属するクラブにひとりでも多くの新入生を勧誘するために,立看板やポスター,ビラ配布や演説などの方法のほかに,出身校の先輩・後輩の関係からの個別的説得もくり返される.このような集団参加の呼びかけに対して新入生の側では,それまでの経験を発展させようとしてクラブを選ぶこともあるし,またそこでもっとも評価の高い団体に入ることで充実感を得ようとすることもあるだろう.新入生がどのクラブに参加するかは,彼女にとってその集団がどの程度魅力があるかにかかっている.
集団力学の立場からいえば,個人が集団に対して感ずる魅力を規定する条件は,第1に集団の目標,規模,社会的な位置づけなどの集団的特性であり,第2に親和欲求,承認欲求あるいは心理的安定の欲求などの,その人の社会的行動の動機となる欲求の状態を含む個人的特性である.
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