疾病の病態生理—最近の考え方・7
胃癌
益沢 学
1
1大阪大学保健管理センター・医学部第一内科
pp.870-873
発行日 1972年7月1日
Published Date 1972/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916378
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はじめに
日本における癌死亡率は高く,厚生省の調査でも第2位にランクされており,世界的にみても,胃癌による死亡率の1番高いのは日本である.このような状態であるにもかかわらず,癌の本体が解明されていないこともあり,胃癌の病態生理の研究はあまり進んでいないのが現状である.
しかし,過去10数年の間に日本における胃疾患特に胃癌の診断法は,胃内視鏡による診断法が導入されてから素晴らしい進歩を遂げ,いまや世界のトップを行くと言っても過言ではない.二重造影法などの胃X線診断法の向上,X線テレビの導入,改良につぐ改良を重ね,グラスファイバーを利用し,ライトガイドシステムを取り入れた内視鏡の普及,さらに内視鏡直視下に狙撃生検(バイオプシー)までできるようになり,術前に胃癌の確定診断が可能となったのはほんの数年前のことである.
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