臨床薬理学・7
ジギタリス配糖体
保刈 成男
1
1日大医学部薬理学
pp.874-877
発行日 1972年7月1日
Published Date 1972/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916379
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ジギタリスDigitalisは,キツネノテプクロFox-gloveの名で呼ばれる紫色の穂花をつけるゴマノバグサ科のDigitalis purpureaで,その花が指先に似ているところから,Digitalis(digitus指)purpurea(purple紫)と命名されたものである.
ジギタリスの葉は,11世紀頃から英国で民間薬として用いられてきた.開業医で植物学に造詣の深かったウィリアム・ウィザリングはこの民間薬に目をつけ,1776年から1785年にいたる10年間に検討したジギタリスによる水腫および他の疾患の治験例を一書にまとめた.この中で彼はジギタリスを浮腫治療の特効薬として位置づけ,さらにジギタリスの心臓作用についても示唆した.その後,カシニー,マッケンジー,レウィスその他の研究者により,心房細動に著効のあることが確かめられ,しだいにジギタリスの薬理作用の全貌が明らかにされてきた.
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