マイ・オピニオン
准看制度を廃止して看護教育を大学に
内尾 貞子
1
1東京大学医学部付属看護学校
pp.587
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916317
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看護教育に足をつっこんで6年めを迎えようとする今,私の脳裡には何かむなしさと,やりきれなさ,そしてさらにいきどおりとが去来するのを否定するわけにはいかない.だが,看護教育の多くを占める各種学校は,質的には短大以上の内容をもちながらも短大昇格は遅々として進まず,カリキュラム改正にあたっても,実際にはたった1人の専任教員が定員化されたにすぎなかった.この中で,いったいどんな専門職業教育が可能であろうか.
看護はいやしくも人の生命にかかわり,健康を守る職業である.同じ分野の医師の教育で臨床教育面だけを取り上げてみても,質・量とも比較にならない教育スタッフを国は規定している.同じ専門職でありながら,なぜこのように違うのであろうか.だが,今,現実にどれだけの人がほんとうに胸を張って,看護は専門職なのだといえるであろうか.多様化され,レベル差の激しい看護教育.現場における看護者の意識と実態,定着年数2年以下が70%以上という看護教師.准看教育に力を入れる国とそれをささえ容認している私たち等々.どれひとつとっても私の頭はうなだれ考え込んでしまう.
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