視・聴・画
〈戦闘的映画〉の告知,他
松田 政男
1
1「映画批評」
pp.112-113
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916211
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前3回をうけて,私は,さらに〈ピンク映画〉なかんずく「ピンクの黒沢明」の異名をとる若松孝二の軌跡を追わなければならないのであるが,ここでやや視点をかえて,ジャン=リュック・ゴダールが70年代の映画戦線に突きつけてきた問題点について,一瞥を与えておくこととしたい。若松孝二とゴダールといういわば解剖台の上で出会ったミシンとコウモリ傘のようにまったく異質な二つの個性が,いったいどこで交点を結ぶのか,たいへん興味あるテーマではないか。
というのも,若松孝二が大島渚いうところの,日本映画の私生児として60年代の裏街道を歩いてきたのに対し,ゴダールは文字通りフランス映画の正統の嫡出子,ヌーベル・バーグの旗手として華やかな足跡を印してきたからだ。
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