視・聴・画
〈スター映画〉の頽廃,他
松田 政男
1
1「映画批評」
pp.116-117
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916008
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日本映画の危機が叫ばれてから久しく,最近でも,シニセ松竹の制作中止説が流れるなど,どうやら慢性危機はパニックへと移行しつつあるかのようだ。東宝・松竹・大映・日活・東映の,いわゆる大手五社がダメならと次々と名乗りをあげた独立プロも,一部を除いては,結局は配給ルートを自立化しえず,まかりまちがうとパニックのなかで共倒れになるおそれさえある。
そこで,落ちめの五社や貧乏たらしい独立プロを尻目にかけて,危機のさなかで頑張っているのが〈スター・プロ〉という伝説が生まれるわけであるけれども,これほどまことしやかなウソはないということを,石原プロの最新作『甦える大地』を見て痛感せざるをえなかったのである。
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