視・聴・画
〈珍道中映画〉の復活,他
松田 政男
1
1「映画批評」
pp.112-113
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917776
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先々月のこの欄で,私は,ビング・クロスビーとボブ・ホープの昔なつかしいコンビが共演するシリーズに触れて,いわゆる〈珍道中映画〉の時代的背景とその衰退について,私なりの仮説を提示しておいた。
要約的にいっておくと,〈珍道中映画〉とは,陽気な2人のアメリカ人を,突然,異郷のただ中に放り込み,冒険やら美女やらを配して,大いにヤンキー魂を発揮せしめるという筋書を共通して持つ。むろんそれが拡張期におけるアメリカ帝国主義の活力の象徴であった以上,50年代から60年代にかけて,朝鮮—キューバーベトナムと,なめてかかった相手から手痛い失点を蒙りはじめるや,ただちに,ロマンチックな<珍道中>の夢は砕かれることとなる。
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