眼科醫の知識
トラコーマの化学療法
三井 幸彦
1
1熊本大学
pp.433
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200697
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トラコーマは世界的の大きな問題の一つで病原体はプロワツエク小体である事が定説である.即トラコーマの病原体はプロワエツク小体であつてこのものは物質学的にはリケツチアヒウイールスとの中間的性状を持つたミヤキガワネラに属するものである.
同じ種族に同じ化学療法が効果をあらわすのが一般の通性である.第4性病にサルフア剤が特効があるのでトラコーマにもサルフア剤が利くであろうとは誰も考える事である.我國でも弓削教授,伊東教授,岡村博士等の業績がありいずれもサルフア剤の有効を認め輿ている.私自身の経驗によると急性期のトラコーマにはサルフアダイアヂン1日3乃至5瓦の内服によりプロワツエク小体は数日以内に消失する臨床所見もかなり急速に軽快するが濾胞は簡單には消退しない慢性状態をつずけているものでは著しい効果を認める事は困難である.千葉の伊東教授はホモスルフアミン軟膏の局所使用が相当有効だと述べている.併し私自身の経驗ではこの方法には殆んど効果を認めることが出來ない.
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