特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている
2.治療の指針
進行をどう判断するか
木村 泰朗
1,2
1順天堂大学医学部附属病院眼科
2上野眼科医院
pp.107-108
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907877
- 有料閲覧
- 文献概要
原発閉塞隅角緑内障(primary angle-closure glau—coma:PACG)では,早期の場合はappositional closure(機能的隅角閉塞)を繰り返すために,眼圧は高眼圧と正常眼圧をいく度となく繰り返す。線維柱帯機能が低下し,いったん眼圧が上昇しはじめると無処置では眼圧下降が期待されない原発開放隅角緑内障(pri—mary open angle glaucoma:POAG)とは異なる。POAGは,目標眼圧を定めてそれを指標に治療をし,また進行の程度を判断していくことになる。
一方,PACGは眼圧を指標にしていると手遅れになることがしばしばある。すなわち,虹彩周辺前癒着(peripheral anterior synechia:PAS)が1/4以上(1/4という数字には諸説あるが)完成し,眼圧が恒常的に上昇すると,レーザー虹彩切開術(laser iridotomy:LI)ではコントロールが困難になることが多くなってくる1)。PASさえ起こらなければ線維柱帯機能は正常に保たれているとされるPACGでは,房水排出機能が維持される範囲以下でのPASの形成時期なら,LIを施行することで,その後長期に無加療での経過観察で済む場合が多い。混合型緑内障やplateau iris syndromeの場合はこの限りではない。すなわち,LIを適切にする時期がPACGの進行の判断と深くかかわってくることになる。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.