医学と看護
脳卒中の看護
足立 幸子
1
1兵庫県リハビリテーション中央病院
pp.51-55
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914674
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はじめに
わが国の疾病別死亡順位をみると,全年齢では,昭和33年来脳卒中が第1位である。第2位が悪性腫瘍,第3位が心臓病となっている。かつて死因順位の上位を占めていた結核,肺炎,気管支炎,下痢腸炎など細菌性疾患にかわって,これらの成人病が人生を脅かす大きな死の影となってきたのである。しかも,わが国の人口構成のすう勢は,成年層ないし老年層の人口割合がますます増加する傾向にあり,したがって将来これらの疾病が相対的にも絶対的にも多くなると考えられ,国民の保健衛生上,特に重要視すべき問題となってきている。
最近の医学の進歩は,成人病についても,早期発見と適切な治療により病気の進行を防止し,あるいは完全に治癒させることを可能にしている。しかし,脳卒中の発作を起こして後遺症を残している者は,36年の成人病基礎調査によれば,全国推計で約31万人,初回発作が起きてからの経過年数は,1年未満が22.8%,2年未満が12.2%,3年未満が13.7%であり,4年以上が42.1%もある。経過年数と後遺症との関係は明らかではないが,これらのうち片麻庫などの障害を残している者が,相当にあると考えられ,家庭においても社会においても,その負担は大きい。
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