Medical Topics
手術後患者の呼吸について,他
K.N.
pp.100-101
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914617
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吸入麻酔時,患者の換気が不足であれば,酸素は十分供給されないし,炭酸ガスも蓄積して危険である。そこで,麻酔科医は,換気に対しては十分注意して,不足にならないようしばしば調節呼吸を行なう。この時,換気量が適正かどうかをいちいち測定しているひまはないから,安全のためにむしろ過換気に傾けていることが多い。しかも吸入気酸素濃度を,空気よりずっと濃くして与えている。
だが,このような患者の動脈血を採って調べてみると,時にその酸素分圧が意外に低いことに驚ろかされるのである。何故か。その説明の一つは,麻酔操作で肺に換気血流比分布の不均等がおこるということである。すなわち,一つ一つの肺胞で,もしガスの出入と毛細管血流の量的関係がくずれると,肺全体としてみた時に,炭酸ガス排出に関してはそれほど悪影響なしに,酸素供給が著しく悪くなることが考えられる。この状態は,麻酔が終ってもしばらく続くので,回復室の患者が,麻酔剤や筋地緩剤による呼吸抑制がなくても酸素吸入を要する所以となる。
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