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心臓移殖第一号はチンパンジーの心臓,他
pp.57
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914434
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人間の心臓移植第一号は1964年1月,米国ミシシッピー州でJ.D.ハーディー博士によってはじめて行なわれたが,この時はチンパンジーの心臓が用いられた。というのは移植の手術を受ける患者が死亡に達した時点においても,心臓提供予定者が死亡しなかったからである。結局この手術は不成功に終わり,ほとんど世間の注目を浴びなかった。それ以前の何年間かは,N.E.ShumwayやW.R.Weblなどが犬を使って実験を行なっている。心臓移植を人間に適用できなかったのは免疫学的な問題であり,これについてはいまなお新しい発見とか解決法はみいだされていない。しかし拒絶反応に対する研究は,その複雑な生理機構を理解する方向にゆっくりではあるが確実に近づきつつある。4年後の1967年12月に,ケープタウンで2回目の心臓移植手術が,バーナード教授の手によって行なわれたが,患者のブレイバーグ氏は1年以上も生存しており,この手術は,完全に成功したものと考えられている。Brit.Med.J No.5636, Jan 1969)
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