クローズ・アップ
—無事にアユムくんを出産した—天才チンパンジー「アイ」ちゃん
pp.827
発行日 2000年10月25日
Published Date 2000/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902492
- 有料閲覧
- 文献概要
記憶力抜群で人間ともコミュニケーションのできる天才チンパンジー「アイ」ちゃん(所属:京大霊長類研究所)が4月24日めでたく長男アユムくんを出産した。人間の遺伝子に最も近いとされるチンパンジー。そのアイちゃんの出産について,観察を続けてきた助産婦の上井稔子さんは「一概にヒトとチンパンジーの出産を比較することはできないが,文化や医学を考え直す材料として,アイの出産を知ることはとても興味深いだろう」としている。
人間の出産には介助者がいるが,アイちゃんは四つ這いと立位で自力出産を遂げた。出産中はなるべく刺激しないよう,静かな環境を保つため,保護者である研究者はカメラによって監視を続けた。余分な刺激と介入のないこと—しかし,必要な観察はしっかりなされていること。人間の理想的な出産環境にも通じるものがあるようだ。出産後4か月たったアイちゃん,育児のほうも順調だという。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.