最近の外國外科
—France—乳癌の卵巣轉移,他
A. Ameline
,
Y. Chatain
pp.643-646
発行日 1949年12月20日
Published Date 1949/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200574
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アメリン及びシャティンの両氏は58歳の嬬人で乳癌の両側卵巣に轉移した1例を報告している.乳癌の根治手術として乳房切断及び腋窩組除去を1945年の3月に施した患織者が,1945年5月迄,その経過を監視されたが,その頃に下腹部は重い感じを訴えて來た.そして骨盤腔に2個の硬い可動性の瘤塊が触知された.開腹術によつてそれ等は2つの大きな卵巣腫瘍と癌浸潤のある卵巣子宮靱帯とであることが分つた.子宮下部で亞全剔出を施した.顯微鏡標本檢査によつて,多形性の極めて異型的惡性癌細胞の卵巣腫瘍であることも判明した.その腫瘍は子宮迄も及び且つ子宮には異所的子宮粘膜症の変化見られた.患者の状態は1948年の8月迄はまず満足すべき状態であつたが,予後は極めて不良である.
この樣な卵巣の癌轉移が子宮までも及んでおる場合には,子宮亞剔出よりも寧ろ子宮及び子宮附属器全部の全剔出を施した方が最良の治療法であつた.又手術不能の乳癌の場合には凡て去勢術を施すべきもので,その際にはレ線治療に依るよりも手術的にする方がよいのである.正常の月経のある若い婦人では手術可能.の乳腺腫瘍のある場合にも,若し臨床的見地から,その腫瘍が可威悪性のものであることが察知されたならぽ,卵集刎出術も施すべきである.ホルモンに依る補萌察法は現在未だ実験的段階にある,しかし一懸は考慮される.(Amelille, A. et Chatain, Y.: Paris Medical 2 : 532−536 Dec. 1943)
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