セミナールーム・病態生理学
貧血はなぜおこるのでしょう
中野 昭一
1
1東京慈恵会医科大学
pp.58-59
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914435
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貧血とは
一般に,あの人は「貧血症だ」とか,「貧1血をおこして倒れた」などと,貧血という言葉が広く用いられてい.ます。しかし,このような場合,血液の量は十分にあって,ただ一時的にからだの中の血.液の配分がかたより,脳内の循環血液量のみが減少した,いわゆる脳貧血が多いことはご承知のとうりです。一方,私たちが動悸や,息切れ,目まいなどを訴える患者さんをみて,顔が青白く,眼瞼結膜や,口唇,爪の色などが悪い場合,第一に考えることは貧血でしょう。
貧血とは,文字どうり“血の足りなくなった状態”,すなわち,単位容積中の赤血球が減少した状態を呼んでいます。しかし,このなかには急性の大出血かなにかで,全血液,つまり血漿も,血球もすべて減少した場合,あるいは赤血.球のみが減少した場合,さらには赤血球の数は正常でもそのなかに含まれるヘモグロビン(Hb)の量が減少して,正常な赤血球としての機能を営めなくなった場合などが含まれています。
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