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世界医療風俗—中世の薬局風景
石原 明
1
1横浜市大
pp.109
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914247
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医薬分業は現代の文明国では常識になっているが,薬局がはじめて出現したのは10世紀の終りころ,アラビアのバクダットだといわれている。それはアラビアでは高度な製剤技術が発逹したので,もはや医師が製剤をも兼業することができなくなったからである。アラビアの製剤技術はその後ヨーロツパに伝わって中世医学に大きな影響をおよぼした。化学はまだ発逹しなかったから合成物質は使われず,薬物はすべて天然の動植物,鉱物に頼っていたから,これらをいかに有効に少量化して保存するか,服用し易いためにどんなかたち(剤型)にするかということが研究され,医師の処方箋に従って調剤するのが薬局の仕事であった。時には薬剤師と看護人は同一人が兼業のこともあった。ここに掲げた3点の資料は中世の薬局の風俗をよく示してくれる。
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