グラビア
世界医療風俗 17世紀の外科医
石原 明
1
1横浜市立大
pp.109
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914171
- 有料閲覧
- 文献概要
17世紀になると医療はかなり進歩したが,まだ田舎では前時代的な不衛生きわまる医療が行なわれていた。大都市の医療風俗はむしろ材料が少ない。2点の名画があるので考察してみよう。上の絵はテニエル筆の油絵で村医者の治療室を示す。威厳を示す魚や鳥の標本,棚の薬容器,右手前には蒸溜釜があって,傍らで助手が膏薬を作っている。ベッドも椅子もない。粗末な台に患者は腰かけさせられ,医師は右足をかけて頭部の治療をしている。下級医師の典型的服装である。
下の絵はコルネリス筆の油絵だが,これはまた前にもましてひどい。村外れの飲み屋の店頭で出張治療をしている,としか考えられず,医師は外出時そのままの服装で剱もはずしていない。医療かくの如くだからまして看護がどんな程度だったか推測に難くない。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.