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世界医療風俗—古代エジプトの医師
石原 明
1
1横浜市立大
pp.109
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913959
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今から数千年も前、ナイル河の流域に栄えたエジプト文明は、医療においてもすぐれた内容をもっていた。ただし、ドレイ制社会では医療は特権階級の専有物で、看護の面では家庭内において、おもにドイレ看護が行われ、まれに肉親看護が併行した。
エジプトの医術は、魔法的な面が多く、医療にたずさわる者は特殊な目でみられていた。医師は神格化されたインホテップの継承者とみられ、短髪で上半身は裸体で、聖職者に近い風俗であった。いまに残る発掘像や壁画からみると、上流階級の服装である。ドレイはほとんど腰囲りだけしか包んでいない。看護をしている実際の場合の画は残されていないが、いやしい労働とみられていたことはたしかで、重症患者の場合にはこれに肉親が加える。パピルスに記された医学文献からみると迷信的なクスリも多く用いられている。
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