グラビア
世界医療風俗—近世朝鮮の出産
石原 明
1
1横浜市大
pp.93
発行日 1969年2月1日
Published Date 1969/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914382
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こに掲げる3点の写真はまさに貴重な文化財である。50年ほど前の朝鮮の出産風俗の秘録で、故あって私の手許にある。下の2枚の写真はいずれも門口や門扉に貼った安産と子の将来の栄違をいのる1種のマジナイである。下右は門口の右に漢文で“産慶忌不精”とあり、左はオンムンで対をなして貼ってある。下左の写真はトビラに大書したおめでたい対句で“竜は福を輸(いた)し、虎はわざわいをおう”と竜と虎を対にして書いてある。現在もまだ、この風習が残っているかどうかは知らないが、門を開くということが安産に通ずるマジナイの部類であろう。
上は朝鮮固有の分娩形態で、坐産の1種である。産婦は手をついてひざまずき、産婆はひざを立てて坐り、分娩介助をしている。新産児はこのあとどんな処置をうけるのであろうか。
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