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世界医療風俗—救病聖徒の信仰
石原 明
1
1横浜市立大
pp.101
発行日 1968年9月1日
Published Date 1968/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914130
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科学の暗黒時代といわれる中世ヨーロッパでは,医学は無力であったから病気になやむ息者は,ローマ法王によって聖徒としてとくに神につぐ信仰を与えられた人びとの伝記の中に精神的なよりどころを求めた。聖徒の中でもことに生涯の活動,殉教の際の死にかたの類似から,救病聖徒という特定の聖徒が息者の信仰の対象になった。苦しい時の神頼みで,熱烈な信仰は時に奇蹟をもたらすことさえあったから,民族,地域,時代によって救病聖徒の対象は変わったが,宗教看護と救病聖徒は密接な関係をもっている。ここにはドイツの王女で眼病の救病聖徒として信仰厚い聖オジリア(左)と精神病を救う聖チリアクス(右)の像を並べてみた。
尼僧の服装のオジリアは手にした本の上にシンボルの眼をあらわし,修道僧の姿のチリアクスは狂える貴族の女児を右手で祝福を与えている。いずれも中世の服装をよく示している。
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