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あんぐる 脳に挑む
楢林 博太郎
1
,
早川 ミツオ
1順天堂大学・神経学
pp.5-12
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914220
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定位脳手術(Stereo-Encephalotomy)は,脳外科的手法を用いる神経疾患の治療の方法のひとつで,戦後に急速に発展した分野であって,本邦の研究者の占める比重は国際的にも大きい。1947年米国の,Spiegel,Wycis両教授によって始められ,ほば時を同じくして本邦でも筆者によって始められてから,約20年を経るが,数多くの錐体外路疾患,頑痛症,てんかんの特殊な型の発作,興奮性性格異常子供の激しい落ちつきの無さ等々これまでほとんど治療の方法のなかった疾患,症状に対して,新しい治療の道を開いたものてある。
いわゆる粗大な病変,(腫瘍とか出血,外傷等々)を示さない慢性的な神経症状に属する上記のいくつかの症状は,その依ってくる機能異常を,主として間脳,中脳等と呼ばれる脳深部の神経構造(神経核とか,神経路)に有するものが多い。そのような構造は通常,数ミリメートル以下の大きさの微細なものであるが,それらを的確に,外科的に侵襲,穿刺し,手術的操作を加えることによって,その機能的異常を是正しようとするのが定位脳手術である。
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