グラビア
世界医療風俗—医学ドクトルのコスチューム
石原 明
1
1横浜市大
pp.109
発行日 1968年11月1日
Published Date 1968/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914212
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ドクトルという学位の称号は,時代と国によって定義はまちまちであるが,いずれにしても大学を卒業した者に与えられる学問の権威づけである。その権威を象徴するために制服があって,これも時代と国によってさまざまである。ことに医学ドクトルのコスチュームは患者の信頼を高めるものだから威厳ある格式をそなえたものが多い。服装史としてドクトルの服装のうつりかわりは興味が深く,学生の制服にまで影響している。ここではヨーロッパ近世のものを集めてみたが,もとは僧服から出たもので,ドクトルの制服とよい対照をなしているのは裁判官の法服である。ナースの白衣とキャップにもつながる制服の変遷を考えてみると面白い。わが国では久しい間,大学生の制服は角帽に金ボタンのサージ生地の詰襟にきまっていた。最近はアノラックにヘルメットという大異変を来たしたので。制服の権威はもはや昔話になってしまった。
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