特集 終末期患者の看護
ベッドサイドから
綿密な心構えと機敏な行動
春日 みね子
1
1東北大学病院
pp.21-22
発行日 1968年11月1日
Published Date 1968/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914184
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重症患者の看護体験を通して
現在,いかに文明が発達し医学が進歩しても,長い経過の末に不幸な転帰をとる患者が増えているといっても過言ではない。これは患者および家族の精神的,肉体的苦痛と不安をながびかせ,経済的負担を大きくしていると思われる。
当大学病院は,地方の病院や診療所から紹介されて来る患者が多く,そのなかには診断もつかぬまま,または確定しても大学病院ということに期待をかけて送られてくる患者もけっして少なくはない。このような患者は大学病院に紹介される前に多くの日数を費しているものが多く,病状が進行しているものが大部分である。前医で行なったと同様の検査のほかに,精密な諸検査を行なう。当科では心,腎,肝臓などのカテーテル,腹腔鏡,シンチグラム,各種のアンギオグラフィー,臓器穿刺などを行なうことが多い。これらは多少なりとも患者の苦痛を伴う検査である。患者および家族の同意を得て検査を行なうが,また,これが契機となって合併症を併発したり,病状を進行させたり,場合によっては不幸な転帰をとることも稀にみられる。
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