- 有料閲覧
- 文献概要
先週,子供のバイオリンのサマーキャンプにチャールストンの田舎から,アトランタまで車で片道6時間かけて行ってきました.どうせ運転手になるだけだから,子供を預けてゆっくり本でも読もうと思っていたのが間違いでした.ボーッとできるわけではなく,子供のために親がレッスンの内容をメモにとるのです.音楽の素養がまったくなく,どうなるか見当がつきませんでしたが,これが結構楽しかったのです.音楽用語をしかも英語で,一字一句もらさずに先生の伝えたいことを書き留めるのにずいぶん集中力を使いましたが,久しぶりに心地よい刺激を受けました.もちろん,先生の話を聞いてるわが子の姿勢の悪さや,返事が煮え切らないのにかりかりしたり,頼むときに“Please”をつけるのを忘れて言葉づかいを注意されるのを,恥ずかしくも思いましたが…….
レッスンでは先生が,「自分がどうなりたいか,自分の体にどう動いて欲しいか,しっかり考えなさい」と繰り返していたのが印象的でした.大事な音,小節を何度も繰り返させるのですが,闇雲に数をこなすのではなく,毎回「今のは良かった」「音が外れている」とその場でコメントし,フィードバックすることには感心させられました.苦労してできるようになると,「Yeah !」と先生まで大喜びするのは「アメリカやなぁ」とも思いましたが,なかなかいい感じなのです.先生は生徒に指摘したことを丁寧に確認し,本人の言葉で表現させます.「自分の言葉で動きとそのポイントを表し,しっくりくる言葉を見つけた後に,さらに自分の体にどうして欲しいか語りかけなさい.その手順をふまないと,自分のものにはなりません」ときっぱり言っていました.3人グループで一人ひとりが自分の課題を与えられる1時間のレッスンでは,指導を受けている生徒のために,ほかの2人が指導内容をノートにとってあげます.できないときは先生も一緒に繰り返して弾いてあげるところには優しさを感じました.毎回レッスンの終わりには振り返り,また翌日は前日の指導のポイントの復習と,確認作業は徹底しています.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.