特集 戦争と平和
わたしの読後感「白の墓碑銘」を読んで
覚悟の出征とはいうが
伊藤 方子
1
1妙見八甲精神病院
pp.39-40
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914082
- 有料閲覧
- 文献概要
「白の墓碑銘」を読み終わり,この世の出来事と思えないほどの悲惨さに驚き,涙し,また目をおおいたくなるような場面に遭遇して,いいようのない興奮を覚えました。
当時の人たちは,お国のためにと身を捧げ,死をも怖れずに出征をのぞみ,自分の体でありながら自分の自由にできないことに少しの矛盾も感じなかったのでしょうか。あるいは感じてはいても,どうにもならない当時の国家体制だったということは,容易に想像できますが,この手紙や手記のなかからは,ファッショ的な国家権力に対する批判や知的な苦悩というものが汲みとれず,その点,現代に生きる私自身が女性なだけに,やりきれないもの足りなさを感じました。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.