グラビヤ
医療ゼロ地帯—赤ちゃんとり違え—それは,はたして“過失”なのか?
pp.17-19
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913898
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病院や診察室での事故を一般に医療過失事故とよんでしまうには多少の危険がある。事故の原因,その原因を誘引した事情,事後処理のあるべき方法,将来への対策というように考えてくると,同じ医療の中で起こった事故でも,互いに全く異質な問題を含んでいると思われるからだ。本当の意味での過失としか考えようのないもの,医療従事者の道義的な問題に鋭く関わるもの,あるいはまた制度的な事にメスを入れなければならないようなものetc.これらを一緒にして単なる過失事故とよんでしまっては,解決すべき方向,対策があいまいにボヤかされてしまうに違いない。
人間であるかぎり過失を皆無にすることはできないであろう。しかし,それを最少限に止める努力は放棄されてはならない。とくに医療の場合その事業目的自体の中にそのことが強く含められるべきではないか。
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